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アートと地域活性化①

アーティストが、限界集落の産業を守る!? 

 

 

 

柴山:前回は、アートを通じた地域ブランディングについてお話ししました。

本日は、アート、そしてアーティストを通じた地域活性化の事例についてご紹介したいと思います。

 

 

沢辺:群馬県にも、中之条ビエンナーレや、アーツ前橋を起点とした形で、

アートによる地域活性化という事例があると思いますが、本日はどのような事例についてご紹介いただけるのでしょうか?

 

 

柴山:本日は、南十勝の大樹町についての事例をご紹介します。

大樹町は、空港でいうと帯広空港が最寄りですが、そこからさらに南に下ったところにあります。

その大樹町で行われている「酪農アーティスト」というプロジェクトについて、ご紹介したいと思います。 

 

 

沢辺:はい。 

北海道での「酪農アーティスト」ですか・・・。

一体、どういう方々のことなのでしょうか?

 

 

柴山: はい。

これはですね、アーティストを夢見ている若者たちの中には、アルバイトをしながら創作活動をしているという人が多いと思いますが、「酪農アーティスト」では、酪農業に従事しながら、アーティストとして活動している方々を酪農アーティストと呼びます。

 

 

沢辺:酪農業ですか。

なぜ、酪農業なのでしょうか?

 

 

柴山:はい。そうした問いがあるかと思います。

実際に酪農業をやろうとすると、ものすごく過酷な仕事です。

私も何度か現場を見ていますが・・・

 

 

沢辺:そうですよね。そうしたイメージがあります。

 

 

柴山:大樹町の酪農業では今、全然人が足りていません。

都会に人が出て行ってしまうという中で、地方の町は過疎化が深刻になっています。

 

 

沢辺:はい。

 

 

柴山:一方で、大樹町には廃校になった学校だけは、失礼ながら、たくさんあるんです。

若いアーティストが何が足りないかといいますと、もちろんお金も足りないのですが、実は「アトリエ」が足りないんです。制作する場所ですよね。

なので、廃校になった場所をアトリエとして活用するわけです。学校の体育館の半分くらいをアトリエとして使えるわけです。

 

 

沢辺:それはすごいですね。

 

 

柴山:もちろん、北海道は極寒です。

光熱費が結構かかりますが、アトリエには暖房設備が完備されていて、それは自治体(大樹町)が出してくれています。

そうしたアトリエ施設を、酪農アーティストは、ただで使うことができるんです。

 

 

沢辺:なるほど、面白いですね!

 

 

柴山:はい。

その代わり、芸術家になりたい人たちは、仕事として酪農業を手伝うわけです。酪農業を通じてお金を得ながら、アトリエで制作するという両立が出来るわけです。

そうして作られた作品は、私たちが、美術館での展覧会などをオーガナイズすることによってプロモートし、アーティストのキャリア支援を行っています。

 

 

沢辺:そうした仕組みなんですか。

 

 

柴山:はい。

このモデルを、限界集落などと呼ばれるような日本のあちこちで、実施できるのではないかと思っています。

廃校になった学校も、そのまま置いておきますと、ただ朽ちていってしまうだけです。

ですので、そうした場所の有効活用のためにも、芸術家をそれらの場所に誘致し、好きな作品を作ってもらうことを通じて、地場産業を維持しながら、アーティストもお金を稼ぐことが出来るようになるというモデルです。

 

 

沢辺:なるほど。

 

 

柴山:こうしたモデルが定着していけば、

日本の限界集落の問題の解決にもなるのではないか、と思っています。

 

 

沢辺:地域ブランディングにもつながっていきそうですよね。

 

 

柴山:はい、そう思います。

 

 

沢辺:ありがとうございました。

さて、次回はどのようなお話しになりますか?

 

 

柴山:はい。

次回は、今お話ししたことを踏まえて、大樹町「芸農スクール」のご紹介をしたいと思います。

この芸農という意味は、言葉通り、芸術と農業からとっています。それについて詳しくご紹介したいと思います。

 

 

 

沢辺:Power of Art、 次回もお楽しみに!

 

 

 

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「北海道の人、くらし、仕事。くらしごと」より

https://kurashigoto.hokkaido.jp/report/20161205130000.php